Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

オペラ指揮者と合唱指揮者の違い

わざわざ書くまでもないぐらい明らかに違う職種でも人種でもあるわけだが、あえて書こう。と言うのも、意外にこの2つをごっちゃにしている人が多いからである。


まずそれぞれがどういうものかだが、オペラ指揮者はオーケストラピットに入って振って本番を振っている指揮者。これは声楽と器楽の両方を理解し対応できねばならず、数ある指揮者という職種の中でも特に難易度が高く、ゆえに最高ランク、オペラ指揮者こそが全ての音楽家の中で最も花形である。合唱指揮者は、これまた奥が深く色々な職種が厳密にはある。当然オペラ劇場にも存在しているし、その他宗教音楽等の声楽曲から民謡的ジャンルまで幅広く、それらのレパートリーは各地域ごとに色々存在するためものすごう幅広く奥深い。これを極めるのは相当長い話である。


オペラ指揮と合唱指揮、共通点は声楽的要素ではあるが、はっきり言って全く別人種である。オペラ指揮者に限らず、例えば普通の声楽曲の演奏会においても、合唱団を練習し作り上げて来る責任者が合唱指揮者で、本番を振る指揮者は俗に言うオーケストラ指揮者で、両方が存在するが役割が違い、最終的には協力はするが、本番を振る者と練習を振るものと言う違いがある。またはそのまま合唱指揮者が本番を振る例もある。


ではそれぞれはどのようにしてなるのか。オペラ指揮者は通常はコレペティトアやアシスタントとして研鑽を積み、長い下積みを経てなっていくもの。学科的にはやはり指揮科、あるいはコレペティツィオン科である。合唱指揮者はこれとは違い、合唱指揮科に入り、合唱を作って行く過程を専門的に学ぶ。完全に勉強する段階から違うわけである。オペラ指揮者が合唱指揮をやろうとした場合、例えばオペラの合唱部分を合唱団に練習することはあるので、やろうと思えば一時的にはできる。しかし合唱メンバーに細かい練習をしたり、その空間でのさまざまなケア等を合わせて考えると、やはりスペシャリストの分野になる。合唱指揮者がオペラ指揮をする場合、劇場によっては本番も振ることが義務付けられている契約の合唱指揮者もいるのでこれまた一時的には可能であり、稀にそこから将来劇場音楽総監督等へ出生する者もいるが、基本的には別人種である。前記の通りそこへ到達する過程からまるっきり違うので、時間をかかけて両方に対応する訓練を受ければいいのだが、それは極めて難しい話。またそれぞれの適正というのがあるので、基本的にはごっちゃにはできないし、やはりそれぞれが機能していることが大事である。


このように、全く別者である。よく自分にも、〇〇劇場で合唱指揮者の募集あるよと言ってくれる人がいる。その情報をくれた行為には素直に感謝するが、しかしその内容(考え方)は、こんな言い方して本当に申し訳ないが、まるっきり素人的な馬鹿な発言である。それだけこれらは違うわけである。確かに一時的に対応可能なこともあれば、稀に両方できる者もいるが、ほとんどが全く別である。当然、自分も例外ではなく合唱指揮者は完全に別方向であり、仕事で単発なら喜んでと言いたいところだが、専属契約レベルとなると全く不可能である。自分の場合元々声楽出身なので、それでいてオペラ指揮者、ならば合唱も当然…と考えられやすいのだが、それは全く違っている。自分は完全なるオペラ指揮者であり、さらに言うならば、合唱指揮者よりかはオケ指揮者である。ゆえに、今後そういった情報を下さる方は、是非劇場専属指揮者やコレペティトアの情報を頂けるとありがたいわけで、合唱指揮者の情報を頂いてもスルーするしかなくなるわけである。