Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

ピアノを弾くことが大事ではない

この題名、かつて留学時代にコレペティの師匠が言われていた言葉です!


どういうことかと言うと、コレペティとは歌手に対して何をするか、どうするかであり、その作業そのものが大事、ピアノを弾くことが決して大事なわけではなく、ピアノはあくまでうまく利用して行う、そういう意味である。


日本ではコレペティトア=ピアニストと考えられている(すでに思い込まれているかそういう設定にされてしまっているかもしれないが)ため、ピアノを弾くことが最重要と考えられてしまっている。事実、これまでに自分の個人レッスンや講習会等へ来られら受講生はほぼ全員例外なくピアノを弾くことをメインと考えていた。ピアノ科出身者ならば極めてピアノ伴奏的に、そうでない方々もまずピアノを弾くことを最初に行う、要するに皆ピアノを弾きたい、弾こうとする、というわけである。


自分もかつてコレペティ科在学中は、今よりもピアノを弾くことを大事に考えてしまっていた。というよりそうなってしまっていた。自分は元々ピアノ伴奏は頻繁に行い経験はあったものの、ピアノ科出身ではないのでピアノの技術そのものには大して自身もなかったので、ピアノを弾くことを練習せねばという思いから、師匠からピアノが大事じゃないと言われ理解はしていたものの、どうしても結果ピアノを弾くことを練習の中でのメインにしてしまっていたことがあった。修行の課程や経過としては悪いことではないかもしれないが、しかし考え方としては間違っていた、ゆえに練習の仕方も当時はかなり無駄が多かったように思う。


今自分がコレペティを仕事として実践し、また後進へ教えるようになり、経験を踏まえてピアノが弾くことが大事ではない=メインに考えてはいけない、と強く主張している。上記の通り自分がかつて一時期伸び悩んだ経験と、その後の現在に至るまでの実践経験から、特にピアノに着目し過ぎな日本人へはこのことを強く伝えねばと思うからである。とは言え、ピアノへの着目が強すぎるがために、自分のこの主張がアドヴァイスではなく自分勝手と解釈されてしまうことも正直少なくない。残念な現実だが、それをどうすべきかを考え自分なりに動き出している今日この頃である。