Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

初見の必要性

コレペティトアには初見能力が求められることがある。しかしこれには色々な考え方や見方が存在する。まず劇場の採用試験では多かれ少なかれ初見の試験が存在するが、しかしこれは劇場や国によって違いがあり、ある時は結構な数と難易度があるが、ある時は一瞬かやらないこともある。この辺にその違いが表れている。


早い話が、もちろんできたらできただけ楽かもしれない。特に忙しい演目数の多い劇場の場合は時間に余裕がないので練習時間もあまり確保できない、となると初見の力がある方が作業が楽と言うことになる。またシーズン中に採用になった場合、いきなりその時その劇場でやっている演目に対応するため、たまたま知ってるオペラなら問題はないが、知らなかったオペラ、あるいは近現代の譜読み困難なものにいきなり取り組むことになった場合、確かに初見能力に救われる局面はある。


しかし逆もある。これは自分が留学中、通っていたグラーツ芸大オペラ科教授(コレペティトア)が言われてたことだが、ある時採用試験の話をした時のことである。初見についての話になった時教授はこう言われた。「採用試験では初見の試験は確かにやるしかないが、しかし本当はそこまで必要とは思わない。なぜなら、劇場のシーズンプランは半年ぐらい前には出されるため準備時間が取れるから」と。確かにその通りである。前述のようなよほど忙しい劇場じゃなければこの教授のおっしゃる通りである。もちろんそれは、致命的に譜読みが遅い人でなければの話だが、まずそんな人はコレペティトアに採用されないのでそれが問題になることはないであろう。


結局は劇場次第というわけだが、確かなのはあればあっただけいい能力であるが、絶対に完璧にできなければいけないというわけでもない。かと言って訓練しなくてもいいというわけではなく、まず初見の訓練は全てにおいて必要かつ重要な訓練である。ゆえに指揮科やコレペティ科では必ず求められる。読譜力や対応力を磨くための訓練としても初見はかなり効果的である。そんなこんなで、初見は色々な意味で必要である。