Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

オペラの作り方~音楽編

オペラをいかにして作るのか、音楽編と制作編と分けて書く。音楽編とは実際に演奏や舞台に携わる音楽家を中心に、制作編とは企画・運営等から予算的な部分。まずは音楽編から。


一般にオペラは次のような流れで本番に向かっていく。


音楽練習→立ち稽古→オケ合わせ→場当たり→ゲネプロ→本番


である。日本ではほぼこのやり方である。ヨーロッパの劇場も基本的には似ているが、やり方などに多少の違いがある。まず音楽練習、日本では歌手陣が指揮者か副指揮者の主導でピアニストがいて、という雰囲気を思い浮かべるであろう。が、ヨーロッパではこれは専らコレペティになる。最初の譜読み的段階から最後暗譜に至るまでがそうである。ある程度まとまってくると、そこに指揮者が来てコレペティトアの伴奏で練習するが、基本的にこれらはコレペティの中に属する。


立稽古、まずは荒立ちという大体の流れの説明的なものから始まり、繰り返し練習して行き、最後にピアノ伴奏による通し稽古になる。日本の場合は主に副指揮が指揮をし、主要な練習時には本指揮者が現れる。ヨーロッパでは指揮を義務付けられたコレペティトア等が指揮を行い、もちろんコレペティトアが伴奏し、主要な練習時には本指揮者が現れる。


オケが入ってからだが、まずはオケ練習が何日か行われ、歌手とのオケ合わせが行われる。その後出来上がった舞台で場当たりを行い、ゲネプロ、本番、という流れである。ヨーロッパもこれにほぼ同じだが、劇場によっては、ゲネプロの前に舞台でオケもしくはピアノ伴奏で通し練習や確認練習が行われることもある。


練習回数だが、これは演目による。しかしそれ以前に日本の場合は基本的にどんなオペラをやっても結構時間がかかる。数ヶ月から半年とか。ヨーロッパの劇場ではそこまでかかることはない。劇場にもよるがプレミエ数演目とレパートリーも数演目こなすところもある。となると1演目にかけられる時間はそれなりに限られているとも言える。大体6~7週間で仕上げるようになっている。とは言え、その時間内では結構集中して練習を行われるため、感覚的には日本より時間が短いとは言え、決して少ないという感じではないと思う。日本が時間かかる理由は色々あるが、ヨーロッパに比べるとだらだらとしている。


また音楽練習と立ち稽古の割合だが、日本は明らかに立ち稽古に時間をかける。音楽練習はあくまで譜読みと暗譜目的のようで、よく音楽がどうかという域に達していない場合が多い。というより、本来音楽練習でやるべきことを立ち稽古に持ち越しているようにも思う。少なくとも楽譜に書かれていること、楽譜から読み取れることは音楽練習でするべきである。例えば、間の取り方で、この間は何があるのか、どう感じるべきか。立ち稽古で演技がつけばある意味分かりやすいかもしれないが、こういうったことを立ち稽古になってからやっていたのではすでに遅いのである。とは言え、演出家が楽譜にあることと違う動きをつける場合がある。その場合、その動きが理にかなっていればまだしも、基本的にそれは演出家の問題である。仮に楽譜と違う解釈にするのであれば、それを補うべく、すなわちその音楽の中で可能な範囲のものにせねばならない。この辺がまずいい演出家かそうでないかの大きな違いにもなる。話を戻して、音楽練習の段階で当然こういった解釈はやっておくべきであり、その上で立ち稽古を行うべきである。これは本来普通のことであるし、それでいてようやく作品本来の世界へ到達できる可能性が得られるのである。あくまでオペラは音楽が支配している音楽作品であるということが土台にあることを忘れてはならない。