Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

ピアニストのコレペティへの適正

これまでに日本の色々なオペラの現場でピアノ科出身の方と接してきた。そんな中色々な方々がいた。中には悪くない人もいた。しかし、残念ながら多くは難ありだった。その現場に対応できないのである。具体的には、チームになじめなかったり、指揮者が振って歌手が歌というところにつけられなかったり…。これらは結構頻繁に起こることで多くの指揮者が頭を抱えるのだが、そうなるピアニストのほとんどは、その起こってることが理解できず本当に対応できないか、少しは分かっているのかもしれないが対応する気がないかに分かれる。


色々な要素があるが、個人的に思うのが、一番多い問題は適正的なものだと思う。まず冷静に考えて頂きたい。ピアノ科出身者は、自分一人で練習し、演奏し、その為周りも自分に対して色々してくれて来たわけである。声楽やオケの楽器のように、大勢と同じ空間でともに行動することは基本的にないわけである。またそれでいて、一人がすごくぢ味にされてきている人種である。これは必然的なことであるが、オペラの現場に来ると仮定した場合、はっきり言って向いてないわけである。まずピアノ科ではコレペティに必要な訓練は全く存在しておらず、別に特別に訓練を受けた者でないと音楽的に対応不能である。そして、団体行動経験が少ないので、オペラの現場は未知の世界となる。またオペラの練習ピアニストは基本的に副指揮者と共に音楽チームに属するため、かなり小間使いでこき使われる。それまで大事にされてきたピアノ科出身者はその時点で不可能となることが多い。そんな扱いによりむくれたり逆切れしたりする方を沢山見て来た。これは仕方のないことである。良い悪いではなく、単に向いてないというわけである。もちろんピアノ科出身者でも性格的にオープンで大勢と一緒にいる場を好むタイプならば可能性は充分にあるが、傾向としてピアノ科出身者にはそういったタイプがものすごく少ないように思う。またコレペティの場合はピアノ科的視点で見れば明らかに伴奏者方面になるが、まず日本の伴奏のレベルはものすごく低い(指揮者もこれに同じ)、さらには伴奏者というものをかなり低く見られている。そもそも確率的に、ピアノ科出身者がコレペティへ進めることは極めて難しいと言える。これは決してけなすつもりで書いているわけではない。オペラに興味を持つことは素晴らしいことだが、その興味ゆえについ勘違い等でピアノ科出身者がコレペティをやりだした場合、その後思っていたことと全然違い大変な目に合うことを少しでも防ぎたいと個人的に思うわけである。コレペティの勉強をすることは素晴らしいことだが、進路として真剣に考えるには、まずコレペティやオペラの世界がどういうものかを今一度冷静に謙虚に考え知って頂きたいと思う。