Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

コレペティトアになる為の独学訓練

ヨーロッパにはコレペティ科のある音大がいくつも存在するが、日本には残念ながら存在しない。またヨーロッパの指揮科では必ずコレペティのレッスンが必須であるが、日本の指揮科にはない。要するに、教育機関もなければ、指導者もほぼいないに等しい。仮にうまく訓練してプロとしてやっていける実力がついたところで、劇場がなにので就職不能。今のところ個人レベルでしかできない状況である。それはされおき、結局のところ今の日本では、留学しない限り基本的に独学で学ぶしかコレペティトアになる道はないと言えよう。では独学でやる場合どうしたらいいのか。これが難しい問題である。なぜなら情報がなく、道しるべ的存在がよほど運よくない限り見つからないので、歌手らからの声を素直に聞き入れ自分で消化するしかない。かなり時間がかかる。もちろんコレペティ科に行っても時間がかかるわけだが、日本の場合はまた歌手もコレペティトアという人種をあまり知らないので、全てにおいてなかなか手間がかかるというわけである。ズバリ言うならば、コレペティ科でやってること、あるいは指揮科でやってることを真似して勉強すればいいわけだが、やはり独りでやるとなると難しい。漠然と、これとこれを…と思っても実際のところどうやっていいのかいまいちわかりにくい。というわけで、一例ではあるが、コレペティトアになりたくて独学でやる場合の方法を書いてみる。


まずは現場に出る前にやること
‐ オペラのヴォーカルスコアの弾き語り(やり方は下記参照)
‐ ディクション/独・伊・仏語(オペラのテキストの解読と発音)
‐ 声楽(可能な範囲で声楽の発声から楽曲の解釈まで理解につとめる)
‐ スコアリーディング(簡単な曲から出いいから可能な限り慣れる)
‐ 指揮(振れるに越したことないが、可能な限り専門的知識と理解につとめ)


現場へ
‐ オペラの現場での伴奏(日本の場合主にこれが多い)
‐ 歌手のコレペティ(個人的に歌手の練習に付き合う)


大体こんな感じかと思う。それぞれに説明を加えると次の通り。


オペラヴォーカルスコアの弾き語り、これが結局一番大事で基本となる。単にピアノ弾くだけでは意味がなく、歌詞が入って初めてコレペティになる。結局のところコレペティの訓練をは永遠これになる。


ディクションは上記の3ヶ国語がオペラの場合基本となる。まずはそれぞれの発音を確実に知り、基礎会話ぐらいは知っておくべき。とりあえず最低限度これをクリアできたなら、どんどん色々なオペラへ。前記の弾き語りで取り上げる演目のテキストをひたすら読み、知り、正確な発音を確認すること。これらがコレペティの実践に直結する。余裕と興味があれば、この3ヶ国語以外も挑戦した方がさらにいい。例えば、チェコ語やロシア語など。日本語の場合は基本やらなくても言葉ぐらいは分かるわけでが、正確な標準語を確認しておく必要があるし、方言で書かれてる歌詞をその方言も確認せねばならない。


声楽は一番理想は個人レッスンに通い、できれば門下発表会ぐらいで歌えるレベルになれば最高。あるいはオペラや声楽曲の合唱団に参加してみる。こうした声楽の専門的な実践がコレペティやオペラ指揮にものすごく役立つのである。ちなみにこの経験のあるコレペティトアも指揮者も世の中ほとんどいないので、あれば物凄い武器になる。しかしほとんどの指揮者&コレペティトアがこの経験も知識もない分、村八分になることもよくある。でも純粋に高いレベルを求めるならば、やっただけいいものであることは言うまでもない。


指揮は仮に実際に振ることがなくても、できるだけ訓練をしておいた方がいい。実際問題指揮者とコレペティトアの違いは、物理的に棒振るか鍵盤弾くかだけで、やってることは同じである。振りながらやるか、弾きながらやるか、要するにどっちから学んでも到達点は同じとも言える。理想は指揮もコレペティも両方できることだが、とりあえずコレペティだけやりたい方は、機会があればレッスンや講習会に行くのもいいし、できるだけその知識とノウハウを身に着けること。そして指揮者の練習のやり方はコレペティにそのまま使えるので大いに学ぶべきである。


現場へ行ってからだが、上記の通りオペラの現場と個人コレペティの両方が主な実践の場となる。特にオペラの現場で伴奏すること、これは日本のオペラでピアノを弾く仕事のほとんどである。正確にはこれはコレペティではなくて練習ピアノだが、コレペティトアがやれば尚いいわけであるし、日本でオペラの仕事をするのであればいずれにせよ今のところこれがメインである。この場合、指揮者が振って練習を進めるが、指揮の勉強をしておけばここで即使えるし困らないわけである。ピアノ科出身の人でこの指揮に合わせて弾くことができない人が世の中実に多い。それが理由で練習が進まない、酷い場合中断や崩壊になる。ゆえに、オペラの現場で弾く場合、最低限度指揮者に合わせる為指揮についての基礎は習得するべきである。


個人コレペティの場合、形式や雰囲気は極めて声楽の個人レッスンに近い。しかし声楽の技術的なことではなく専ら音楽的なことの指示がメインになる。もちろん声楽の専門的なことも言えれば尚いいし歌手からの信頼も得られるであろう。しかし気をつけるべきは、声楽の場合発声の指導に関しては非常にデリケートで、多くの声楽の先生が自分の教えたことを別の要素を入れられると嫌がられることが多く、当然歌手本人もそれをかなり気にしている。ゆえに発生的な指示を歌手に出す場合は、差しさわりなく客観的でポイントを押さえたうまい言い方をしなければいけない。これはものすごく難しいことでもあるが、これを究めようとするならば、上記のように声楽の専門的知識と経験がある程度必要になって来る。音大声楽家卒ぐらいのレベルである程度しっかり学んだ者は大体このレベルにいけるだろうが、まあそんな指揮者やコレペティトアは世界中探してもほとんどいない。それだけに、個人的には勧めたいわけである。


このよう訓練し実践につなげていければいいわけだが、書き出せばこんな感じだが、ヴォーカルスコアの弾き語りを中心にこれらはものすごく手間暇かけた気に遠くなる作業である。数年でやりこなせられるものではない。もちろんこれら全てを訓練ととらえた場合、まずある程度慣れるまでは最初に書いた訓練をやり、慣れてきたら少しずつ簡単な負担にならない範囲から現場へ出てみるのがいいし、そうやって練習と実践を繰り返していくことが大事である。そんな中で何をどうやればいいのか、難しい問題が色々出て来ると思う。これから独学でコレペティを学びたい方は是非このやり方を参考にして頂きたいと思うし、質問等があれば是非ご連絡下さい!お答えします。