Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

ルサルカ序曲のネタ

よくオペラの序曲では、そのオペラに出て来る主要な旋律をいくつかメドレーのように出してくるものが多くみられれます。例えば”こうもり”がいい例です。はたまたオペラには出てこない音楽で作られたものもありますが。ルサルカはどちらかと言うと””こうもりのそれに近いと思います。ルサルカの旋律にはじまり、王子の旋律が出て来て…。そして最後はその後の悲劇の暗示的になりそのままⅠ幕へアタッカです。で、一つおもしろいのが序曲の出だしです。最初は低弦とティンパニの出リズム打ち。この出だし、チェコでは例外なく皆4つ振りにします。が、前にドイツの某劇場で8つに細かく分けてる指揮者がいました。そしてこれは自分の経験すが、以前日本である学生にこの序曲を指揮レッスンしたことがありますが、彼もまた8つに振りました。この違いとは…。

まず音楽的に考える。この出だしは水面にある泡、あるいは波紋みたいなものを表現しています。というのも、ルサルカ=水の精とは、設定では、もちろん目に見えないものですが、水面の流れ込み等にできる泡のこととされています。ゆえにまず序曲の出だしでその存在を提示していると言うわけです。ゆえにこの水面に現れる泡、その動きであり、感覚としては自然で揺れのある感じでしょう。というわけで、チェコ人はそれを感じているため迷わず4つ振りで充分と言うわけです。この感じで考えると8つ振りだと機械的になり、その表現としては明らかに違います。この時点で答えになってますね(笑)

次に一応技術的に考える。基本的に分割して振った方が振るのが楽ですし、オケも確実に合うでしょう。またその方がしっかり仕事した気にもなるでしょう。世の中そういう感覚の強い指揮者が多いのも事実。ゆえに指揮者的正義感?生真面目になり8つに振ってしまう人はいるでしょう。しかし前記の通り、これでは明らかに音楽と違ってしまいます。個人的には、初めて8つ振りを見た時びっくりして違和感を持ちました。その後チェコで何人かの指揮者で見て、また自分も振りましたが、どう考えても4つでしょう。

これからルサルカの上演へ行かれる方、まずはこの出だしに注目するとおもしろいかもしれません(笑)音楽を振っているか、単に棒だけ振っているか、その指揮者が即分かります(爆)



Dvorak ‐ Rusalka ‐ Overture