Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

ルサルカ登場人物~水の精

ルサルカに出て来る重要役の水の精、チェコ語ではVodník(ヴォドゥニーク)。バスかバリトンが歌う渋い役で、物語全体の進行役的要素を持つ、ある意味主役以上に主役です。水の精という響きからすると日本人的には美しい妖精的なイメージがあるかと思いますが、確かに種類的にはそれで間違えありませんが、このオペラの場合のこの役では、水の精の中の長老として登場するため、バスやバリトンで歌われております。そもそもルサルカというオペラ自体が基本的に水の精の世界の話。主役ルサルカはその世界の若い女性、その世界の長老がここで言うVodníkというわけです。風貌的には全身緑色、これは藻のイメージだと思われます。川や湖の底に長年ある石が藻で覆われて緑色であるように、長老のVodníkも緑色というわけです!

チェコ人から聞いた話ですが、Vodníkとは恐ろしい存在のようです。川や湖に船で繰り出すと、水の中から現れてさらわれる(引きずり込まれる)、そんな恐怖感を持っているらしいです。日本に無理やり例えると河童?しかし河童の方が何となく間抜けなイメージが加わっているように思いますが…。決してVodníkは皿をかぶっていません(笑)

写真は、オペラのルサルカでVodníkを歌うEdurard Hakenという歌手の写真。彼は往年の名Vodník歌いだそうで、自分も敬愛しておりますwこの写真のルサルカのCDもDVDも出ております、お勧めです♪続いて、チェコでの基本的なVodníkのイメージらしい写真、キャラクター的に表現されたVodník人形です。



ルサルカ登場人物~王子

ルサルカの王子、チェコ語でPrinc。言うまでもなくルサルカに次ぐ主役です。Ⅰ幕に有名な格好いいアリアがあり、Ⅱ幕も結構活躍し、最後Ⅲ幕で死んでいく時の歌も劇的で素晴らしい。テノールの格好いい役と言えるでしょう。まあ内容的には自分の勝手により死ぬことになると言う、良くも悪くもテノールらしいわけですが…。声はよほど軽く細い人か強烈に太く重すぎる人でなければ結構幅広く行けるでしょう。個人的にはリリコ~ヘルデンがいいのではとも思います。が、決して声を張り上げる必要はなく、フレージング等でうまく作れて声がうまく運べることの方が大事と思います。

写真はチェコの某ルサルカ公演での王子。まあこんな感じでしょうw


ルサルカ登場人物~ルサルカ

ルサルカの主役ルサルカ!言うまでもなく美しいイメージで、もちろん音楽はアリアを筆頭に本当に美しい♪チェコ人曰く、中ぐらいの声で自然にシンプルに歌うイメージだそうです。ゆえにリリコからレッジェーロのソプラノが歌います。リリコの太め&重めの人からはあまり声が合わなくなっていき、歌う場合はそのシンプルな感じを歌う対応力が必要になります。決してドラマティックな役でも声でもなく、しかしドラマ的にはなかなか壮大でもある、そんな魅力的な役と言えるでしょう。ところで、日本の皆様は本来(本当)のルサルカをご存知でしょうか?

このオペラではルサルカは水の精の若い女性で、人間の王子に恋をしてしまい…、と設定上は綺麗な話になっております。話の筋が人魚姫に似ていて、かつ水の精、ゆえにルサルカ=人魚姫という勘違いがかなりありますが、全く違います。世界中探すと演出上ルサルカを人魚姫にしているものも稀に見ますが、それはあくまで演出ネタです。オペラの設定では水の精、すなわち精霊&妖精です。では、ルサルカとは本来は何者なのか?
ルサルカとはスラヴ圏に伝わる幽霊です!若くして亡くなった娘、水害で亡くなった女性、洗礼を受ける前になくなった少女などがなる幽霊で、森の中の湖に現れ、外見は絶世の美女、目を付けた男を誘い踊り狂わせて殺す、そんな恐ろしい幽霊です。ロシアの一部の地域などでは、鬼婆のような恐ろしい外見とされてるようですが、基本的には誰もが一瞬で誘われてしまう美女らしいです。これが本来のルサルカですが、オペラ化するにあたりやはり美化され、上記のような設定になりました。確かに本来の設定ではちょっとオペラにはなりがたいような…。

写真は、チェコの劇場でルサルカを歌う某チェコ人ソプラノ歌手、まあ舞台上での典型的なルサルカのイメージと言えるでしょう。続いて、昔ポーランド人の某画家によって描かれたルサルカ、それと恐らく鬼婆的イメージのルサルカの一例?です。