Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

学友へのコレペティ

今週、久しぶりに古い友達、学友のコレペティに付き合いました。日本の音大の声楽科時代の仲間で、以来個人的に名が付き合いです。一緒に公演を何度もやり、何かとプライベートでも長く続いている一人です。たまに新しい譜読みや慣れないオペラが来るとコレペティを頼んでくるので付き合います。よく知ってるだけにすごく気楽で、いい意味で遊び感覚です。また自分もいい訓練になってます。


今回はドニゼッティのルチアのルチアとエドガルドのデュエット、エドガルド部分の譜読みです。友人は元々古楽専門にやっていて、近年普通にオペラも徐々にやるようにして来ている為、こういったメジャーオペラでもまだ慣れてないところがあります。でも元々は同じ声楽科の仲間、話は通じて理解には困りません。そんな作業がまたおもしろい。こういうことがたまにあるわけですが、たまには自分も全然知らないオペラを持って来られることもあり、いい経験です!


今週2日間にわたり付き合いました。次はいつどんなものが来るのでしょう。これはこれで楽しみです。

爆笑回?

コレペティ科時代、声楽家の友達に呼び出されコレペティや伴奏をすることがちょくちょくあった。それらはとても貴重な機会で、一緒に付き合ってくれた仲間にはすごく感謝している。が、ある時よく一緒にやっていて声楽科の某バリトンが、色々な意味でおもしろかった。


彼は残念ながらソルフェージュ力が乏しく、言ってもなかなか治らないタイプだった。しかし意欲的なので、こっちもできる限り付き合ってしまう。ここまでならまだ普通だ。しかしたまにそれ以上の飛んでもない領域まで行くことがある。最初は普通に練習しているのだが、ある時テンションが上がりどうしようもなくなり、近い友人を無理やり呼び出し気が付いたら演奏家もどきになっている。その頃にはさすがに付き合いきれなくなる。しかしそこに来てくれた友人達は本当にいいやつだったと思う。譜読みするままならない歌をまじめに聴かされて何かしら賛辞を無理矢理述べていくのだから。


もっと酷かったのは、自分が遠出してたまたまいなかった時に身代わりになった友人がいた。彼は現在同大学の声楽科でコレペティトアとして学生を指導しいるのだが、こともあろうに大晦日に呼び出され、客のいない(正確には前述の友人1~2名程度)なんちゃってジルヴェスターコンサートを強引に開催し伴奏させられたのだ!後で彼からその様子を聞いたらさすがにコメントに困ったが、しかし寒いヨーロッパの年末年始にそれではやりきれない。…。


といった具合に、コレペティの実践に機会も時には訳の分からない事態に陥ることもあるようで…。しかし、今となってはいい思い出である。今こうして回想して笑えることは何よりである。修業とはまじめにいいものばかりではなく、時には良くも悪くも変なことになるものである。それも踏まえて経験である。で、その某バリトン歌手、現在どこで何しているのか、消息不明である。一つ言えるのは、まあ大して変わってないであろうということ。とりあえず声楽は続けているようなので何よりである!


やや番外編

コレペティ科在学時、授業やカリキュラム以外でちょくちょく個人的にコレペティをする機会がありました。ある時、某マスタークラスのオーディションを受けたいからとのヴァイオリンの友達に頼まれて初見コレペティをやったことがありました。要するにその友達は、試験前に伴奏付で調整したかったというわけで、厳密にはコレペティと言うより伴奏で付き合った感じでした。曲はW.A.モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番。後に何度も振ってますが、当時は初めてで、楽譜もその当日持ってくるとのことで初見でした。


試験課題は1楽章と2楽章。これはオケの採用試験の定番でもあり、こういったオーディションでも必ず出て来る、言わば避けては通れない課題の一つです。当時の自分にもいい訓練でした。またその友達はすごく音楽的でいい演奏をしていたので、こっちも色々な刺激を受けました。そして初見でというのもかなりいい訓練になりました。結果的にこの練習は2日間行い、友達は準備段階としてとても満足してくれました。また自分も限られた時間ではありましたが、いい経験と勉強になり、友達にはすごく感謝しています。


このように、コレペティ科や指揮科にいるとこのような機会がちょくちょく訪れます。それを受けるか受けないかは本人次第ですが、これこそが生きた経験になる最高な勉強の一つです。日本ではピアノが伴うものは全てピアノ科出身者へと簡単に考えられますが、これは本来コレペティトアや指揮者の専門分野になります。指揮科も数少ない日本では確かになかなかないことかもしれませんが、コレペティトアや指揮者を志すのであれば、絶対やるべき訓練です。むしろ自分から求めて探していくべき実践の場です。