Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

コレペティの留学~入試編

入試は当然願書を出すところから始まる。今ではシステム等が変わっていると思うが、自分の時代は冬~春(2月~4月)に願書を出し、春~夏(5月~6月)に入試と言うのがドイツ語圏では主流だった。今では秋以降に願書を出し翌2月に入試、秋に入学というのが増えてきているようだ。いずれにせよ大学や地域による違いがあるので、少なくとも1~2年前から興味のある大学やその地域のスケジュールを調べておく必要がある。願書自体は原語が最低限度分かれば問題ないレベル。後、今で はどこにどうあるかは詳しくは分からないが、日本の音大を出ていれば、それらの証明を出せば途中から入学と言うシステムもかつてはあった。もちろんその場合最初から受けるよりも試験官の目線は高くなるが。


入試科目は、コレペティ科の場合は専門実技がコレペティメインになる以外は指揮科と同じであろう。専門実技以外は、音楽理論、ソルフェージュ、ピアノ、初見である。自分の母校グラーツ芸大は指揮科の中にオケ指揮、合唱指揮、コレペティがあるため、当時はコレペティ科を受ける場合は指揮の試験もあった。もちろん専門実技はコレペティなので指揮の試験はやや参考的要素もあったが、まあ基本的なところだけ抑えていれば特に問題はないレベルだったように思う。


あくまで自分の経験だが、当時のグラーツ芸大の入試を参考までに書く。まず試験は当時1日で行われ、朝から夕方までかかり、かなり過酷だった。当時のタイムスケジュールは以下。


9:00~12:00   音楽理論&聴音
15:00~15:30   初見視唱
16:00~18:00   実技試験


自分の念は10名受験し、上記の時間内で行われた。全指揮科を一括で行うため、その1名は指揮科のどの専攻を受けるか、併願しているか、は人それぞれだった。結果オケ指揮と合唱指揮2名ずつ受かり、自分はオケ指揮の1人だった。ちなみに自分は1年後にコレペティ科だけ受けなおした為、基礎科目はずでに入っているので免除、実技試験だけ入試日に受けたと言う形であった。話を戻して、音楽理論&聴音は、まず最初1時間が聴音、残り2時間が筆記。聴音は最初の数問は簡単で落ち着いてやれば日本の音大を出た人であれば全く問題ないレベルであった。が、一応その中でも少しずつ難しくなり、気が付いた頃には日本の音大でソルフェージュが得意としていた人でも解けるわけのないようなレベルにいつの間にか到達していた。後半は本当に意味が分からなかった。筆記、和声と対位法は基本的問題で、基礎があれば問題ないレベル。自分の時は管弦楽法が出て、各楽器の音域を書かされた。後正確には忘れたが、結構自信を打ち砕かれるようないやらしい問題も沢山出て憔悴しきったことをよく覚えている。いや、聴音が強烈だったから疲れただけなのかもしれないが…。初見視唱は、最初に新曲視唱が1問、落ち着いて歌えばまあ大丈夫なエベル。その後3問出されたのが、試験官が3~5音程度を3回弾いて、それを覚えて歌うというもの。最初は簡単だったが、2~3問目は結構音程が取りにくく結構難しかった。実技試験、ピアノ(初見含む)と実技である。大抵の場合、ピアノと実技のどっちを先にやるかはその場で聞かれて好きな方から始められることが普通かと思う。


これらの試験の間に、大学の練習室を借りて最終調整。当然その合間に昼食もとる。自分らの場合、まず午前中にかなり難しい重苦しい時間を過ごした為、昼頃にはかなり絶望していた。しかしここまで来てやってきたことをやり切れずに帰るのは嫌だったので、疲れを押して開き直って午後に挑んだ。それがよかったのか、実技試験はうまくいった。結果受かったわけだったが、結局は総合点での評価になる為、最初こけても後で挽回チャンスもあるので、最後まであきらめず自分の力を全ての分野で出し切ることが大切である。これらを1日で詰め込むのはかなり過酷で、はっきり言って日本の音大を出ただけの人は一生経験することはないだろう。また別の回に格が、ヨーロッパの音大は課題の量も授業の入れ込み具合も半端ない。ヨーロッパの音大生活は日本のそれとは比べ物にならない過酷なものである。その為、多くのプロが学生時代が一番大変だったと言う。入試の時点でそれが暗示されているかのようである。


自分の経験を元に入試に着いて語ったが、あくまで参考例の一つではあるが、大雑把に大体こんなものと思っていれば大体感覚はどこも近いと思う。入試課題数的にはもう少し多いところもあるが、過酷さは大体似ていると思う。具体的な試験課題は、ピアノに関しては前回書いた通り、大体ピアノ科に似ているかもう少し少ないかである。コレペティ実技試験は、オペラのアリアや2~3重唱辺りを2~3曲程度ではないかと思う。大学によっては曲をしていていたり、任意で自由選択だったりする。とりあえずはアリアと2~3重唱辺りを数曲入試までに練習しておいて、最後願書出す時ぐらいに無難なものを選べばいいと思う。もちろん、できることなら入試準備の訓練時に、もっと大きなアンサンブルやフィナーレ等の長目のものを触っておけばなお余裕が出るだろう。いずれにせよ入ってからそういったことは沢山やるので、まずは基礎がしっかりしていること、それを踏まえての将来性、この辺が重要である。


入試に関しては大体かんな感じである。次回は入ってから、コレペティ科の勉強や生活について書く。