Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

謎のテンポ

日本でも有名なミュージカル”エリザベート”、この中で一番有名な曲がIch gehör nur mir(私だけに)という曲であろう。自分は学生時代の音大生自主公演ミュージカルでこの作品の副指揮をしたことがあり、また国内外にて稀にこの曲を歌いたいソプラノ歌手のコレペティ等をすることがった。しかしそこでものすごく謎なことがある。


この曲はエリザベートが自分の人生について歌うもの。比較的サラッとしたテンポでsemple parlareである。どこの誰の演奏を聴いてももちろんそうで、大体皆ほぼ同じテンポになる。というよりそうにしかならないと言った方がいいであろうテンポが存在する。しかし、これをソプラノ歌手(声楽家=オペラ歌手)とやると、なぜかそのテンポを強烈に拒否する者が存在する。自分はその上記のテンポでまず前奏を弾き始めるが、そうすると「何そのあり得ないテンポ?」みたいになる。そしてこの曲のテンポを実物の倍ぐらい、いや倍以上遅いテンポと思い込んでいるようである。CD等のマネやそれを参考にした勉強の仕方はよくないが、しかしまず曲を知るためにCD等を参考にするのは普通のことであり、最低限度そうしていればそういうテンポ間の認識になるのはあり得ないことであるのに、なぜかそうなる。皆が皆そうではないであろうが、しかし声楽家=オペラ歌手のソプラノに限ってたまにそういう人がいる。


何人かそういうソプラノがいたのだが、コレペティ&伴奏した結果感じたことは、彼女たちはどうもしっかりと声を出して&伸ばしてたっぷり歌おうとしているようである。声楽家的とも言えるかもしれないが、しかし前記の通りそういう曲ではない。原曲を知ってる方は言うまでもなくご存じと思うが、前期の通りsemple parlareで、たっぷりなめらかに歌う曲ではなく語り調でむしろしっかり訴えるように話すような曲である。この時点で解釈すのものがおかしいことになるが、しかしその声楽的感覚を考慮したとしても、明らかにそのように歌っているCDも上演も存在しないわけで、どこをどうしたらそういうテンポになたのか?正直全く理由が分からず謎である。


というわけで、長年の謎を書いてみたわけでしたw