Der Korrepetitor

オペラ指揮者&コレペティトア・宮嶋秀郎がコレペティについて語るブログ

オペラの作り方~制作編

ヨーロッパの劇場は国公立がほとんどなため、予算は市や国や州から出て、劇場で働く者は皆市や国や州の職員ということになる。


日本の場合、辛うじて新国立劇場は国の管轄だが、それ以外は一部を除いて皆私立か個人的グループ(民間オペラ団体等)となる。当然社会的にも文化的にも経済的にもかなりの違いがあるわけで、日本のそれはヨーロッパのそれとは色々な意味で大きく異なる。まず大きな違いは支援の体制であろう。日本の場合、こういった芸術や文化に対する投資があまりに少ない為、オペラ人は皆苦労する。これはどうしようもない現実である。


具体的な話に行く。オペラとは日本の場合大体以下の通り。


製作チーム … 代表者等幹部
音楽チーム … 指揮者、副指揮者、練習ピアニスト
演出チーム … 演出家、演出助手
舞台チーム … 舞台監督、舞台補助、大小道具、照明、他


これに歌手陣、オーケストラ、合唱が加わり大きな一つのチームである。


ヨーロッパの劇場はこれらが常に会社として組織化されている。例えばドイツ語圏の劇場だと大体以下の通りになる。


製作チーム … 総裁、他
音楽チーム  … 音楽総監督、専属指揮者、合唱指揮者、コレペティトア
オーケストラ … プレイヤー、オーケストラマネージャー、他
合唱 … 合唱歌手、合唱アシスタント(大劇場の場合)、マネージャー
舞台チーム … 舞台監督、演出助手、舞台補助、大小道具、照明、他


実際はもっと細かく多くの部門と役職があるが、主要なところを大まかに書いた。日本との大きな違いは、音楽チームとオーケストラが極めてしっかり組織されているところであろう。ある意味劇場の核になっている部分である。


予算的な話である。残念ながら世界的に不況などでどこに行っても苦しい財政なようである。日本の場合は前述の通り投資が少ない為、やりたい人が自分で何とかせねばいけないというわけである。ものすごく限られた中でやらざるを得ない。しかし大事なのがここからである。限られた範囲なのは仕方ない分かり切ったこととして、それをどうするかである。日本のオペラ団体の場合、傾向はほぼ一つと言っていい。まず舞台演出面をどうするかを考える、そこにいかにして多くかけるかというわけである。同時に音楽面の予算を削る、正確に言えばいかにして可能な限り出さなくていいかと考える。舞台演出面と反対でまず削減の対象、できればゼロにしたいと考えている。それが実際に演奏能力にもアhン営している、ゆえにレベルは上がらないわけである。酷い場合は、予算を抑えるために音楽練習をなしにしていきなり立ち稽古から始める団体もあるらしい。これではオペラではなく音楽というおまけを片手間に付けた芝居である。


ヨーロッパでも予算削減の為に、オーケストラの編成を減らすため編曲された小編成版を使うこともある。しかし編曲にそれなりの予算がかかるわけで、これが頻繁に行われているわけでもない。日本でも同様にオーケストラの人数を減らそうとするが、それはオリジナルの楽譜で無理やり削るのである。明らかに音楽を大事にしていない。オペラはやはり作曲されてのもの、その土台を大事にせずに上演はありえないはずである。ゆえに音楽の予算を削れば必ず悪いことが起こる。反面、舞台面だって削ろうと思えば削れる要素は色々ある。しかしそれをしようとせず、音楽を削ろうとする。はっきりいってやるべきことは真逆である。特に日本では音楽を大事にすべきである。そうしないと未来は暗い。


こういったあり方について話せば切りがないわけである。ここに上げたことはごく一例に過ぎない。大事なのは、オペラを作る場合、演奏亜kだけでなく制作者も、芝居ではなく音楽作品を作るという意識を持つことが必要である。オペラ劇場は芝居小屋ではなく音楽会場である。ドイツ語でよくある表現で、オペラ劇場のことをMusiktheater(音楽劇場)という。芝居小屋のSchauspielhausは別部門にある。この認識はものすごく大事である。